self standing series

 

服を縫い縮めるシリーズは、コロナウイルスによる自粛の頃から作り始めました。家に籠っていてどんどん気持ちが塞いでいくし、漁師は海に出られないときは網を繕うという言葉がありますが、そんな気分で服を縫っていたらどんどん小さくなってしまって、身も心もどこへも行けない心境を表しているようだな、と思ったのでした。

 

このシリーズを作るきっかけは、以前布を鋳造にするという制作(ちいさく縫う / Self-Standing:2 blouse / Self-Standing:1)を行なっていて、その時にブロンズは何百年も何千年もそのままの形で残る、という話を聞いたことから始まりました。

 

当初、鋳造実習の際に布を縫い縮めることは、布自体に厚みを持たせることで少しでも自立させる為でもありました。

自分の記憶や思い出が詰まった服を少しずつ縫い縮めブロンズに出来たら、何千年後かの考古学者がこの小さな洋服を掘り出した時に人類はこんな形だったのだろうか、と困惑させたいな、といった想像をしたりしました。

 

ここで挙げているビジュアルの段階ではブロンズにはなっていませんが、画像になることで素材感などの情報が絞られ、また違った面が見られるのではないかと考えています。